ここでは, Pythonの統合開発環境(IDE)の1つであるPyCharmの紹介をしていきます.
PyCharmとは
PyCharmはJetBrains社が開発したPython用の統合開発環境で,
- インテリジェントなPythonアシスタンス
スコード補完, コードインスペクション, オンザフライのエラーハイライト, 自動コードリファクタリングなど豊富なナビゲーション機能が存在. - Web開発フレームワーク
- Django, Flask, Google App Engine, Pyramid, web2pyなどの最新のWeb開発フレームワーク固有のサポート.
- Scientificツール
IPython Notebookと連携が可能. Anaconda, matplotlib, NumPyなどの科学技術計算パッケージもサポート. - クロステクノロジー開発
Pythonに加えて, JavaScript, SQL, HTML/CSSなどもサポート. - リモート開発機能
- ビルトイン開発者向けツール
統合されたデバッガとテストランナー, Pythonプロファイラ, ビルトインターミナルなどが含まれる.
など, 多くの特徴を兼ね備えたたいへん評価が高いIDEです. 詳しくは,
https://www.jetbrains.com/ja-jp/pycharm/features/
をご覧ください.
このPyCharmには, 次の3つのエディションがあります.
- PyCharm Professional版(有償)
- PyCharm Community版(無償)
- PyCharm Educational版(無償)
違いは次の通りで, 本格的にPythonで開発を行うのであれば, 有償版しか選択肢がありません. 無償版だと本当に機能が制限されていますので, ライトユーザー向けになります.
Professional | Community | Educational ※ | |
---|---|---|---|
インテリジェントなPythonエディタ | ✔️ | ✔️ | ✔️ |
グラフィカルデバッガとテストランナー | ✔️ | ✔️ | ✔️ |
ナビゲーションとリファクタリング | ✔️ | ✔️ | ✔️ |
コードインスペクション | ✔️ | ✔️ | ✔️ |
VCSサポート | ✔️ | ✔️ | ✔️ |
Scientific ツール | ✔️ | ✔️ | |
ウェブ開発 | ✔️ | ✔️ | |
Python ウェブフレームワーク | ✔️ | ✔️ | |
Pythonプロファイラ | ✔️ | ✔️ | |
リモート開発機能 | ✔️ | ✔️ | |
データベース& SQLサポート | ✔️ | ✔️ |
※ 認定教育機関(高校, 専門大学, 総合大学)の学生および教職員が申し込みで利用可能
PyCharmをHomebrewを用いてインストールする
PyCharmをHomebrewからインストールする場合, まずはHomebrewをインストールする必要があります.
ここでは, PyCharm Community版(無料)をインストールしていきまます.
ターミナルから,
brew cask pychrm-ce
と入れるとインストールが開始されます.
インストールされたか確認するためには,
brew cask list
またはbrew cask info pycharm-ce
と入れてみましょう. 前半はHomebrew Caskでインストールされたアプリが表示されます. 後半はPyCharm CEのバージョンなどが返されます.
おまけ:PyCharmをHomebrewを用いずにインストールする
以下のリンク先から, コミュニティ版をダウンロードしてインストールします.
https://www.jetbrains.com/ja-jp/pycharm/download/#section=mac

PyCharmを起動させる
PyCharmを起動し, 初期設定をしていきます.
最初に起動すると, JetBrains Privacy Policyの受け入れ画面が出てきます. 同意して次に進みます.

DATA SHARINGは「Don’t Send」で問題ありません.

初めてPyCharmを使いますので, 左側を選択します. 過去に使ったことがある場合は右側を選択します.

UIのテーマです. 好きなほうを選びます. 最近はダークモードがはやりです. あとから設定変更できます.

チェックを入れると, コマンドラインからファイルやプロジェクトを開くが有効になります. 最初はチェックを入れなくてかまいません. あとから設定変更できます.

VimやRなど他にインストールしたいものがあればインストールします. これはあとからでもインストールできます. 今は何もインストールしなくてよいでしょう.

これで初回起動時の設定が終わりました.

PyCharmのおすすめ初期設定
PyCharmは多くの設定ができます.
最初の「Welcome to PyCharm」から
「Configure」→「Preference」
と進みます. 以下の設定はしておくとよいでしょう. あとは使っていくうちに好みで設定を変えてみてください.

- Appearance & Behavior→System Settings→Reopen last project on startupにチェックを外す.
起動時に前回開いていたプロジェクトが自動で開かれなくなります. - Editor→General→Change font size with Command + Mouse Wheelにチェックを入れる.
エディタのフォントサイズの変更をマウスなどで行えます. - Editor→General→Appearance→Show line numberにチェックを入れる.
行番号が表示されるようになります. - Editor→General→Appearance→Show method separatorsにチェックを入れる.
メソッドの区切り線が表示されます. - Editor→General→Appearance→Show whitespacesの「Leading」「Inner」「Trailing」のすべてにチェックを入れる.
順に, 先頭, 文中, 末尾の空白が表示されます. - Editor→General→Code Completion→Match Case:のチェックを外す.
コードの大文字と小文字が区別されなくなります.
PythonをMacにインストールする
Python3系の実行環境を整えていきます. ここでは, HomebrewでPythonをインストールしてあることを前提とします.
詳しくは以下をご覧ください.
PycharmでPython3系を実行してみよう
新しいプロジェクトを作成する
PyCharmを起動し「+Create New Project」を選択します.

Project名は半角英数であれば何でもかまいません. ここではDesktopに「sample_project」というProjectを作りました.

今回は仮想空間を設定するわけではないので「Existing interpreter」の「interpreter」を選択します.

「System Interpreter」を選択し, 「…」から先ほどインストールしたPythonを選びます.

HomebrewでPython3系をインストールしたのであれば,
usr/local/opt/python3/bin/python3
となるはずです. それそれPythonをインストールした環境に合わせて選択してください.

Existing interpreterが設定できたら「Create」を押せば, 新しいProjectの作成がされます.


新しいPythonファイルを作成する
左上にある作成したプロジェクトを右クリックし, 「New」→「Python File」からPythonのファイルを作成します.

Pythonのファイル名は何でもかまいません. ここでは「sample.py」としておきます.

sample.pyが作成されました.

ここに,
print('Hello, Python!')
と入力します.

このあとPythonを実行すれば, Hello, Python!と出力されます.
Runを設定する
Pythonを実行させるためのRun設定を行います. 右上の「Add Configuration」を選択します.

「+」を選択し「Add New Configuration」から「Python」を選びます.

「Name:」は好きなものでかまいません. 「go」や「run」でよいでしょう. ここでは「Run Python3」としてあります.
また, 「Script Path:」は先ほど作成したPythonファイル「sanple.py」を選択します.
設定が終わったあとにOKを押せば, 実行ボタン▶が押せるようになります.

先ほど設定した「Run Python3」になっていることを確認し, 実行ボタン▶を押します.

「Hello, Python!」が出力されれば成功です.

終わりに
PyCharmは簡単なプログラムではあれば, このアプリ内でTerminalが呼びさせたり, とても便利なものです.
無料でもある程度のことはできます. エンジニアでもない限り, 有料にするには躊躇してしまいますね.
Pythonの紹介はここまでです. 次回以降はPythonを用いた簡単なプログラムの紹介をしていきます.
コメント